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転倒防止対策
 

家具が倒れると逃げ道までふさがれる

阪神・淡路大震災における震度7の地域では、住宅の全半壊をまぬがれたにもかかわらず、全体の約6割の部屋で家具が転倒し、部屋全体に散乱したというデータがあります。
しかも、ただ倒れるだけでなく、食器棚などは扉が開いて中の食器類が散乱し、また、冷蔵庫やピアノは移動してしまい、テレビや電子レンジが飛ぶといった、日常では考えられない現象も確認されています。
つまり、建物が無事でも、家具が転倒するとその下敷きになってケガをしたり、室内が散乱状態のために延焼火災から避難が遅れてしまうなど居住者被害も大きくなるというわけです。
内部被害による怪我の原因 表


壁の桟と家具の桟をL字金具で固定する
  壁への固定はL型金物で

金物と木ネジを用い、L型金物を壁の桟に対して直角に家具の上部に置き、木ネジでとめます。ただし、木ネジは壁の桟に届かないと効果がないので、ボードの厚みを考慮する必要があります。しかも、家具の上部ならどこでも良いというわけではなく、図1(桟に直接固定する方法)のように、両端部分の、しかも家具自体の桟が確実に入っている位置に金具を取り付けましょう。家具の桟が入っていない位置では、金具を取り付けても確かな効果は得られません。また、一般的に壁の縦桟は30pあるいは45pの間隔で入っていますから、家具の幅や置きたい場所によってはうまく合わない場合があります。
そこで、家具の位置を自由に決められるよう、家具の高さに合わせて、横木を壁の桟に取り付けます。その横木に、L型金物で家具を固定するわけです。図2(鴨居や横木への固定方法)


  積み重ね家具は上下を連結

上下に積み重ねて使う家具は、最上部だけを壁の桟に固定しても、重ねた部分が地震で揺れるとずれてしまい、前にせり出して転倒する危険があります。
めんどうでも図3(積み重ね家具の固定方法)のように家具の側面などで上下を連結したうえで最上部を壁の桟に固定するか、上下の家具それぞれを壁の桟に固定すれば確実です。


  やむを得ない場合は天井で家具を支える

ところで、壁のなかに桟が入っていないために、家具を固定できない壁があります。この場合は、設計図などで天井の強度を確認のうえ、家具を天井で支える方法が考えられます。たとえば、高さ調整式の上置型すき間埋め収納ユニット。これは、高さを調整しながら突っ張った広い面で天井と家具との間を支えるタイプです。
また、衣装ケースなどを家具の上に置く方法もあります。この場合は、ゴムシートなどを敷いて滑らないように注意することと、天井との間にすき間が生じないよう新聞紙などをしっかりと挟み込まないと効果はありません。
なお、家具と天井の間を広い面ではなく点で支える、いわゆる突っ張り棒タイプのものは、家具と天井との間が大きく開いている場合や、奥行きのない家具に使用しても、あまり確かな効果を期待できない場合があるので、注意しましょう。やむを得ず使う場合は、図4(桟に直接固定できない場合)のように、家具の両端の奥に取り付けます


  家具の配置にも工夫が必要

さて、家具の転倒を防ぐための固定は大切ですが、住宅の立地や構造など、さまざまな条件によって揺れ方が違うので、必ずしも万全とはいえません。
 そこで、安全という面から家具の置き場所を見直すことも、転倒などによる被害を防ぐための大きなポイントとなります。


  就寝位置や出入口と家具との関係は重要

たとえば家具の配置と、ふとんを敷いたりベットを置く、いわゆる就寝の位置との関係です。
 壁を背にした家具は前方に倒れてきますから、就寝位置は、家具の高さ分だけ離れるか、家具の脇に決めた方が安全です。
 また、家具が倒れて出入口を塞がれてしまっては大変です。家具は出入口付近に置かない、あるいは万が一倒れても通り抜けられる空間を残せる位置に置くようにしましょう。
(家具の配置と就寝位置の例)





テレビ・冷蔵庫が凶器に変わる

ところで忘れがちなのが、冷蔵庫やテレビ、電子レンジといった家電製品や、ピアノなどの転倒防止策です。一見転倒とは縁遠いようですが、実は、倒れるだけではなくて、冷蔵庫が歩き出したり電子レンジが宙を飛ぶといった事例が報告されています。

 
まずは専門知識のあるメーカーに問い合わせる

しかも家電製品は、日常的に電気を通しているわけですから、金具などの取り付けにもいっそうの注意が必要です。メーカーによっては、製品専用の転倒防止金具などを用意している場合もありますので、まずは販売店やメーカーに問い合わせてみましょう。
そのうえで、以下の注意点が考えられます。たとえば、壁に冷蔵庫を固定する場合、金具を取り付ける壁の位置は、家具の場合と同じように桟の入った部分でないと効果はありません。
また、テレビや電子レンジなど、置き台に乗せて使用するものは、台と本体を金具などでしっかり連結する必要があります。同時に、こうした製品にはキャスターの付いたタイプが多いので、キャスターを取り外しておくか、台輪を履かせて移動を防いだほうが良いでしょう。
ただし、フローリングの床の場合は、キャスターを付けたままで移動させた方が転倒をしないケースもあります。ピアノの場合は、なんといっても重量が問題でしょう。たとえばグランドピアノは250s以上もあり、地震時の衝撃の大きさによっては、脚が折れてしまうケースがあります。
対策の方法は置き場所によってもことなりますし、楽器本来の機能を損なっては元も子もありませんので、専門知識を持つメーカーなどへ問い合わせることをおすすめします。
(某メーカーの対策例)





重いものは低いところへ
 
  1 吊り戸棚の扉にはロック機構の付いたものを

吊り戸棚や食器棚などに多く使われる開き扉は、日常の使用では実用的ですが、地震時には開きやすいという欠点があります。なかでも吊り戸棚の場合、揺れによって扉が開くと、収納物が上から飛び出してきて危険です。できれば、閉じたときに自動的にロックされるタイプを選ぶと良いでしょう。また、揺れが治まったからといって吊り戸棚をすぐに開けると、中で倒れているも物が落下してくることがあります。十分に注意しながら開けてください。


 2 食器棚のガラスには飛散防止フィルムを

食器棚やサイドボードのガラス面は、家具が倒れなくても中の収納物が、飛び出そうとする衝突力で割れる恐れがあります。こうしたガラスや食器の破片が床に飛び散ると、ケガのもと。しかも、避難路を防いでしまいます。ガラス面は、万が一割れても破片が飛び散らないよう、ガラス飛散防止フィルムをぴったり貼ると良いでしょう。


 3 倒れにくくする原則は重心を下げること

重い物ほど下に入れる−これは家具を倒れにくくするための大原則です。たとえば、食器棚では陶器やガラスでできた大きくて重いもの、本棚では百科事典や全集などの重い本を下段に入れると、家具全体の重心の位置が下がるので倒れにくくなります。重い物が高い位置から落ちてくる時の危険性も考慮すると、やはり下に入れた方が良いでしょう。


 4 ゴムシートを敷いて食器類の滑り止めに

食器棚などの棚板にゴムシートを敷くと、器類が滑りにくくなります。ただし、ビニール系シートを敷くと、逆に滑りやすくなるので、お間違えのないように。


 5 余震に備えて下段の引き出しは出しておく

大きな揺れの後にゆとりがあれば、余震に備えて、タンスなどの一番下の引き出しを手前に出しておくと良いでしょう。倒れようとする家具を支える役目を果たします


 6 ストーブの片づけは必ず電池を外してから

春を迎えて、押し入れなどにストーブをしまう時、つい忘れがちなのが乾電池を外すことです。電池が入ったままだと、地震の揺れによって点火してしまい、火事を起こす可能性があります。特に押し入れは、燃えやすいものが収納されているので、ご注意を。


 7 大切な美術品はパテなどで固定を

高価な調度品や美術品のためには、転倒防止剤としてパテなどが市販されています。なかには美術館などで使われているものもあります。



●監修 建設省 自治省消防庁 住宅・都市整備公団
●製作 家具の転倒防止対策に関する検討委員会
  (事務局)(株)都市整備プランニング
あいち防災協働社会推進協議会
あいち防災協働社会推進協議会では、今年度、家具や書庫等の転倒防止を推進テーマと掲げ、取り組んでいます。弥富市もその活動に協力しています。

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